女性鍼灸ワールドネットワークの開催報告は医道の日本の六月号にも掲載されております。この開催報告は医道の日本に掲載された記事の他写真などが掲載されています。
前山文子昨年本誌十二月号に女性鍼灸フォーラムのご案内(長戸のり子記)を掲載し、平成十二年三月十九日に金沢アパホテルにて第一回を開催致しましたので、その報告をさせていただきます。はじめに、会の名称を『女性鍼灸ワールドネットワーク』としたことをご紹介します。全国的に女性鍼灸師の方々と情報交換の場を作りたいという願いを込めて、さらに近年急速に鍼灸への関心が高まっているアメリカで、まずはカリフォルニアの女性鍼灸師との交流を出発点に、将来はさらに広く海外の人たちとも交流の場を作りたいという目的でワールドネットワークと致しました。発足に向けては事前のアンケート調査を実施し、会の主旨を呼びかけた結果、皆さんから本当にたくさんのご意見をいただき有意義な情報を得ることができました。そのアンケートに答えて下さった方々に書面を借りてお礼申し上げます。第一回では全員がディスカッションできる人数の設定と致しました。事前のアンケート調査で皆さんがどのような意見をお持ちか、多少の情報がありましたので、会の進行に役立てることができました。第一回は、私達鍼灸師が日頃どのような考えで治療に取り組んでいるかを中心に、経験を踏まえての話し合いをするにあたり、『二十一世紀私達への助言』をテーマとしました。参加者は東京、埼玉、千葉、群馬、愛知、神奈川、奈良、大阪、三重、京都、兵庫、滋賀、山口、福岡、岐阜、新潟、福井、石川、富山の各地方から年齢も60代、70代の臨床歴30年以上、また40歳代以上が半数以上を占め、「皆さんが今日の主役です」と司会者の進行で、参加者のほとんどの方に意見を述べていただくことができたことは、大へん内容の深い会の進行につながりました。意見の中では、自然に拍手が湧きこるなどの感動する場面もあり、全国で活躍されている素晴らしい女性鍼灸師の存在を確認できる会であったと思います。開業すると、教わるという場が少なくなる中、特に若い鍼灸師にとり、臨床経験の豊富な鍼灸師が述べる意見には何気ない一言の中にも重い響きが感じられ、たいへん刺激になったようです。また高齢と言いながらもまだ自分にできること、自分のやり残したことに対して情熱を傾ける鍼灸師の姿勢も素晴らしいことだと感じられました。教わる場、教える場、教え合う場、ひとりの鍼灸師がそのいずれにもなれることを実感できる機会だったと思います。今回のゲストスピーカーとしてまず最初に奈良で鍼灸ならびに柔整をされている福井淳子さんより自分が体調を崩したときにどのようにしてそれを克服し、それにより自分がどう成長したかの体験発表がありました。二人目のゲストスピーカー、滋賀の中井さち子さんには女性として日本初の鍼灸医学博士になるまでの道のりを、また医学博士になった後の活動、研究、また臨床とこれからの鍼灸師のとるべきひとつの方向などを熱っぽく語っていただきました。アメリカからのゲストスピーカーのキムチョンさんは、アメリカでの鍼灸の実情をわかりやすく説明されました。最近の話題のひとつでもある NIH (National Institute of Health) の鍼灸研究の状況やその他の機関での鍼灸臨床研究の事情、彼女自身が携わっているスタンフォード大学のスタッフとの共同研究などの紹介、また各鍼灸師の日常臨床の取り組み方など、現地の話を日本の現状と比較しながらの発表は、とても興味深いものでした。鍼灸に関しては、日本のほうがはるかに研究にも優れていると考えていましたが、アメリカの取り組み方は日本とはまた違い、将来は早いスピードで日本をリードするのではという感さえ致しました。そのアメリカでも従来の中国式から日本式の鍼灸が好まれつつあるようで、日本鍼灸の良さをもっとアメリカへ発進させて紹介していくことが望まれていることや、今後日本とのこのような交流が歓迎されていることなどがこの会を通して強く感じられました。日本から、この会から、アメリカへ、海外へとどんどん技術や知識を発進させていきましょう。私たちにできることが、まだまだたくさんありそうです。二年後の2002年には、アメリカでカリフォルニアの女性鍼灸師との交流が実現しそうです。現地での鍼灸治療の取り組み方を実際に見聞し彼女達の考え方を理解することにより新たな発見もあるでしょうし、さらに自分たちが励む上での刺激ともなりうるし、鍼灸師として同じ職業意識をもっての交流が楽しみです。当日の参加者からの感想では、殆ど全員の方からこのようなすばらしい女性鍼灸師の方々が活躍されている現状を知り、今後の自分に大へんよい指針になったことを聞かされました。私自身主催者でありながらもし発言を許されるなら、この会においてはこれまでに味わったことのない刺激、感動を受けました。真剣に取り組む女性鍼灸師との交流をしたいという素朴な思いから出発し、第一回女性鍼灸師ワールドネットワークを発足、開催し本当に真剣に取り組んでいる方々の参加を得て意見を交わすことができ、予想を越えた成果を得ることが出来ました。そして今後を考える上でのたくさんの意見をいただき、参加者の皆さんに心より感謝しています。鍼灸師には常に生涯学習、自己学習が必要です。全日本鍼灸学会や日本鍼灸師会、また地方会などいろいろな会へ所属して、各自で研鑚を積んでいるのですが、この会ではさらに学術研究、治療院経営などだけにとどまらず、鍼灸師として、また人間としてやらなければいけないことなどを自ら提案し、探し出し、参加者が中心となり参加者がつくり出す会を今後も目指してゆきたいと考えます。
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